りんごの未熟果や皮に多く含まれるリンゴポリフェノールにガンの増殖を抑える作用があることが、弘前大学医学部保健学科の研究チームの研究でわかった。ポリフェノール成分が、がん細胞の自殺を促す作用を持つ可能性が高いことも判明。研究チームの三浦富智は(今後、アポトーシス誘導のメカニズムなどを解明していきたい)と話している。

 研究グループは、一匹当たり百万個のがん細胞をマウスの背中に移植。リンゴポリフェノールの水溶液5ミリリットル(濃度1パーセント)を毎日マウスに飲ませ、蒸留水を飲ませたマウスと比較した。
その結果、蒸留水を飲んだマウスは移植後26日までに11匹中5匹が死亡。死亡率は45.5パーセントだった。
これに対し、ポリフェノールを投与したマウス10匹のうち、移植後26日で死亡したのはわずか1匹、死亡率は10パーセントに抑えられた。

 また移植後26日の腫瘍の体積は、蒸留水のマウスは平均約六千立方ミリメートルだったのに対し、ポリフェノールのマウスは約三千五百立方ミリメートルと大幅に少なかった。一方、培養したがん細胞にポリフェノール溶液を直接注入した実験で、濃度の高い方ががん細胞の数が減少。ポリフェノールががん細胞に直接作用する可能性が判明。
さらには、細胞が自己の持つプログラムを作動させて自殺する細胞死現象(アポトーシス)を誘導する作用をリンゴポロフェノールが持っている可能性も示された。