なぜ日本人の果物摂取量が少ないのでしょうか。
いろいろな理由があると思いますが、「果物は果糖が多く含まれているので、中性脂肪が増えるのが怖い」という健康知識も大きな理由の一つと思います。
実際に「高脂血症の予防には果物を控えること」と報道されることもあります。
しかし、中性脂肪と果物との関係は、科学的には検証されていません。

 高脂血症の動物実験では、果糖を与えて中性脂肪を増やすことが行われていますが、その場合、動物の食餌全体量の60パーセント以上もの大量の果糖を与えています。
どんな果物の好きな人でも、日常の食生活でこのような摂取をすることができません。
別の見方をすれば動物に大量に果糖を与えなければ、中性脂肪は増えないといえます。

 ボランティアに、りんごを一日1個半から2個を3週間毎日摂取してもらい、りんごと中性脂肪の増減関係を探る試験をし、血液中の中性脂肪を測定しました。
結果は予想以上で、14名のうち12名の中性脂肪の低下が確認されました。
りんごを摂取する前の中性脂肪値110mg/d1に対し、りんごを摂取した後87mg/d1と21%も減少していました。
このことは「果糖は中性脂肪が増える」とする説をくつがえす結果で、果糖を摂取すれば中性脂肪が下がることが明らかとなりました。