■リンゴにはどうして蜜が入るの?■

蜜(みつ)のたっぷり入ったリンゴを食べるととても美味しく感
じます。蜜は外から注射器などで人為的に注入したものと誤解され
ることもありますが、樹上でリンゴが完熟する過程で自然に発生し
たものです。

 水浸状に見える部分を蜜と言い、養分(ソルビトールなどの糖分)
が詰まっています。リンゴでは細胞と細胞の間に空気が多く含まれ
ているのですが、完熟期になると芯(しん)の周りの維管束から細
胞と細胞の間に自然と蜜がたまっていきます。

 蜜は全ての品種で発生するわけではありません。「ふじ」や「ス
ターキング」、「デリシャス」などに多い傾向にありますが、「ゴ
ールデンデリシャス」や「つがる」では完熟しても蜜が入りにくい
ことが知られています。また、蜜は木になっているときに出来て貯
蔵中に徐々に少なくなっていきます。

 葉では、太陽の光と空気中の二酸化炭素と水から、光合成によっ
て酸素と糖(同化産物)を合成しています。こうして出来た糖をリ
ンゴでは、ソルビトールに変換して、葉から篩管(しかん)を通して
果実に運ばれます。

 果実内では、果糖などの糖に変換されるのですが、完熟期になる
とすでに細胞内が糖で飽和されているため、ソルビトールは細胞の
中に入れず細胞と細胞の間に蓄積するため、水浸状になると考えら
れています。また、気温が低くなり、果実の表面から水分の蒸発が
少なくなると蜜が出来やすくなることが知られています。

 蜜入りリンゴは完熟になるまで木になっていたことの証明です。
この蜜の部分にはソルビトールが多く含まれているのでさわやかな
甘さが感じられます。しかし、ソルビトールは砂糖に比べて甘いわ
けではありません。砂糖の甘さを100とするとソルビトールは60で
す。

 なぜ蜜が入ったリンゴは甘く美味しいのかというと、葉から運ば
れてきたソルビトールが果実の中の酵素の働きで、果糖やショ糖
(砂糖)などに変換されて沢山たまるためです。特に、果糖は砂糖の
1.15〜1.73倍と最も甘い糖で、リンゴでは最も多く含まれている糖
成分です。

 お尻の部分が黄色や赤くなっている果実は、完熟果の印なので蜜
が入っている可能性が高くなります。ただ、蜜入りリンゴは、完熟
しているためあまり日持ちしないことから、新鮮なうちに食べるの
が味を楽しむコツです。